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もともと彼は藍家で、私は紅家で。
王家に不遜な二家が、結ばれるはずなどなかった。
彼は藍州へ戻り、藍家を捨て、帰ってきた。
王への絶対の忠誠と、珠翠への想いを手に握り。
絶望的な距離が、縮まるようにしてさらに開いた。
私が想う程彼は私を想ってはいない。
よく知る元気な少女、その程度。
もし、黙ったまま放っておけば
この想いは、苦しさは、
何時か、何処かへ、
消えていくの……?
王家に不遜な二家が、結ばれるはずなどなかった。
彼は藍州へ戻り、藍家を捨て、帰ってきた。
王への絶対の忠誠と、珠翠への想いを手に握り。
絶望的な距離が、縮まるようにしてさらに開いた。
私が想う程彼は私を想ってはいない。
よく知る元気な少女、その程度。
もし、黙ったまま放っておけば
この想いは、苦しさは、
何時か、何処かへ、
消えていくの……?
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街を彩る明るいイルミネーションと溢れ出すような人混み。
「はぐれそうですね」
思わず零せば彼は繋いだ手を持ち上げ口づけて。
「見失うわけないよ。秀麗より美しい光なんて、ないからね」
一瞬頬が熱くなって、うつむく。
けれどまた歩き出して、見上げれば、彼は綺麗な笑顔を浮かべていて。
常に浮かべているそれとは違う、心からの笑みに、見蕩れた。
――貴方の方こそ、聖夜を輝かせる私の光なのに
こっそり、心中で呟いて。
道でたまたま会った彼女。
腕には大事に育てられたのだろう、健やかな子犬。
捨て犬だったのだという。
好奇心に目を輝かす子犬はそんなことまるで知らぬように身を乗り出してくる。
可愛い。彼女並べばさらに相乗効果。
でも、彼女があんまり愛しそうにそちらばかり見つめるから。
「名前は?」
質問にやっと此方を向いてくれた顔は微かに紅く染まっていた。躊躇った後、目を逸らし告げる彼女。
「……ひさぎ」
「…………」
――ああ、なんて可愛いんだろう!
腕には大事に育てられたのだろう、健やかな子犬。
捨て犬だったのだという。
好奇心に目を輝かす子犬はそんなことまるで知らぬように身を乗り出してくる。
可愛い。彼女並べばさらに相乗効果。
でも、彼女があんまり愛しそうにそちらばかり見つめるから。
「名前は?」
質問にやっと此方を向いてくれた顔は微かに紅く染まっていた。躊躇った後、目を逸らし告げる彼女。
「……ひさぎ」
「…………」
――ああ、なんて可愛いんだろう!
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